あるMさんが、骨とう品(陶器)を持っていたとします。3人の人から、私の家に代々伝わる美術品(=掛け軸)とMさんの陶器と交換してください、と言われたとします。

3人のうち誰と交換したいと思うでしょうか?

(1)Hさん

私はMさん持つようなデザインの陶器が昔から欲しかったんです。『買おうとは思っていたが、その時はお金がなくて...、お金ができて店に行ったら売り切れてた。..手を尽くしたが見つけられなかった..結局は自動車を買う資金に使った」

と「自分が買えなかった理由」を延々と説明する人


(2)Kさん

『この陶器を欲しいと思っている人の中では、世界で1番欲しい、のは私だ!
あなたが譲るのなら、1番ほしいと思える人に譲った方がいいよね?』

連絡の回数も熱意のあらわれなのか、他の2人よりも頻繁で

欲しいという気持ちを訴えかける人


(3)Pさん

交換することになる掛け軸の価値について、有名な骨董の鑑定士からのお墨付きの書類を持参。
ちゃんと偽物でないことを証明。500万円の価値がある掛け軸で、400万円の陶器以上の
価値があることを証明

自分の掛け軸を、Mさんの自宅のどこの位置に置いたらいいか
どんな風に部屋の印象が良くなるか、置くことのメリットを詳しく説明する人


上の3人がいたとしたら、交換してもいいな、と思うのは最後のPさんでしょう。


Pさん以外の他の2人は、「自分の都合だけで」話をしています。
相手のMさんのことは考えていません。

いずれも、「自分がいかにMさんの陶器がほしいか」しか説明していません。

Hさん=経緯だけ
Kさん=熱意だけ

です。

反対にPさんは、相手のことを考えて

・交換したらどれだけ得をするか
・交換することは安全だ

と説明しています。物々交換であれば、『相手が得をする』ということを基点にして
話を進めているのが分かります。


○転職の面接で置き換えると?

これを転職の面接で考えてみます。

不合格になるのは、HさんKさんのように「自分の都合だけ」で面接で話しているだけかもしれません。

Kさんタイプは

「御社の商品のファンです!好きな商品ランキング1位です!」
「転職するなら御社しかありません。新卒の時も受けてたんです!」

と自分が入社したいという「熱意だけ」です


Hさんタイプは

「上流工程の仕事をしたいので希望しました」
「御社に入社したいのは、休日が多くて福利厚生も充実しているので、長く勤められそうだと思いました」

とこちらは「あなたが入社したいと思った経緯だけ」です。

そうではなく、

Pさんタイプは、

「御社の採用課題である、高齢者向けの施設運営のノウハウをもっています」
「私はインドでの海外営業をを10年やってました。御社が進出するインドの顧客開拓の成功に
自信があります」

などと、相手の都合を意識して話します。

Pさんのように「自分を雇うのがどれだけ、企業にメリットをもたらすのか」を
転職の面接という場でアピールするのが1番、企業に刺さります。


企業の立場で考えると、転職の面接は


Mさんのもつ陶器 → 募集する企業の求人

3人がもつ掛け軸 → あなたのキャリア

に置き換えます。

面接では上の物々交換で、交換しようかどうかと考えるのと同じです。


  企業 

     Mさんの陶器 =  求人
      価値は400万円
        ↑  ↓

     3人の掛け軸 =  キャリア

   3人のキャリアが、求人と釣り合っているかどうか
   交換したとして(=入社させた)として『得か、損か』を比較しています。

企業は

・出した求人(=陶器で価値は400万円)で、

 3人のキャリアが、求人に釣り合うか(陶器の価値400万と同等か)


・採用したら、どのくらい得をするか、損をするか
求人に応募者のキャリアが釣りあえば雇う。釣り合う相手が複数いれば、
 1番に価値が高い人間を採用する

 (Pさんの場合は、500万の価値があることを証明して、400万より
  得をすることが分かったから交換した)


となります。面接は営業そのもので、上のように「自分を雇う価値を示す場所」と考えましょう。